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春風亭昇也@くがらく

開催レポート

寒風も吹き飛び、足も攣る!昇也さん、2時間以上の大熱演!

春風亭昇也:「寄合酒」

春風亭昇也:「時そば(昇也オリジナル)」

-お仲入り-

春風亭昇也:「勘定板」

春風亭昇也:「廿四孝」


くがらく史上初の大入り満員。ありがたいことです。70名近いお客様で会場はいっぱいになりました。

高座の冒頭。くがらくインタビューでの「どういう噺家さんになりたいですか?」という質問に対する回答

  大きく言うと3つあります。一つは古典落語を真っすぐやってお客様に聴いてもらえるという噺家。奇抜な何かをやることなく、まっすぐ古典をやってお客さん がちゃんとその噺の中に入ってくれて、(なるほど。こみちさん古典落語をやる時はこういう風にやるんだな)ってその情景も見えて、その登場人物としてお客 様に見ていただけるという。もう一つは自分が生きていく上で、食べていくための切り札、さっきも言いました“飛び道具”的なネタをちゃんと持っていて、臨 機応変に、そのカードを切れる噺家。三つ目は(男性がやると成立しない)女性にしかできない噺(古典風新作とか)を開拓していく噺家。この3つです。

ということから、「それぞれ一席ずつやります」と、宣言してのこみちさん。インタビューとシンクロさせていただけるなんて、ありがたいです。

小噺2つ、小三冶師匠一門の話をやりながら探り探り、切ってきた最初のカードは「姫と鴨」。これ は“(男性がやると成立しない)女性にしかできない噺”に該当しますね。得意ネタで、お客様のハートをぐっと掴みに来ましたようで。

こちらは、三遊亭白鳥師匠による「目黒の秋刀魚」がベースの改作。こみちさんがそれに手を加え、足を加え、自分のものに仕上げているそうです。

お姫様・千代姫が野がけに出かけて、鴨の南蛮焼きを生まれて初めて口にして…という物語。はきはきした口調、凛とした所作。まさに、かわいらしくも偉そうな 千代姫様と、彼女を魅了する大変“美味しそうな鴨の南蛮焼き”が高座に出現。香ばしい匂いと湯気がはっきりと見えました。

カで始まって、モで終わる食べ物。噛み砕いたタロイモ、関西人のふともも。みんな大笑い。お客様も楽しそうです。


二席目は「豊竹屋」。こみちさん言うところの“飛び道具的なネタ”に属する噺ですね。

この手の歌い、節が入る噺「音曲噺」は、もう“こみちワールド”、こみちさんの真骨頂。惹きこまれます。女性で、ここまで音曲噺を操る人はいないのでは。いい声だし、いいオーラ。歌声がからだに纏わり付いて、聴かせる聴かせる。高い声が出ないと無理な噺ですからね。

個人的に古今亭志ん輔師匠の「豊竹屋」を彷彿とさせました。想像ですが、志ん輔師匠に教わったのではないでしょうか。

前半の言い立ての部分、口三味線の男・花林胴八(かりん どうはち)が登場する直前の部分、朗々とした独り語りでは寄席なら確実に、お客様から中手(拍手)が飛んでいます。「くがらく」ご来場のお客様は、そうい う習慣になれていないので中手は入りませんでしたけど。みなさん、食い入るように聞いていました。

豊竹屋節右衛門と花林胴八が徐々にセッションしていく場面も、お見事。流石です。

終わりまでテンポよく一気に畳みかけ、サゲを行った瞬間、客席からは大きな拍手と、「おお!」という歓声、ため息にも似た声が漏れました。

お仲入りを挟んでのトリネタは「くしゃみ講釈」。“真っすぐな古典落語”の部類ですね。

個人的には「寝床」と思いましたが、二席目の「豊竹屋」とツイちゃうんでしょうか。義太夫(豊竹屋)と、講釈師(くしゃみ講釈)はOKなのでしょうか。くがらくとしては、どちらでも構いません。楽しければ。

町内の兄貴と弟分も上手いんだ、こみちさん。男っぷりがいい。切れの良い口調、ぽんぽんと進む会話。抜けている弟分の抜けっぷりと、それに突っ込む、兄貴の江戸っ子口調がたまらないコントラスト。

「小姓の吉三(こしょうのきちざ)」⇒胡椒 を思い出すまでのくだりは聞かせますね。ただ単に騒々しいのではなく、愉快で楽しい。ちんどん屋みたいに「八百屋 お七」を歌いだし、意図せず店先に見物客を集めてしまう弟分。会場にお越しのお客様が野次馬で集まってきた見物客に見えました。

講釈の部分も聞かせます。上手いから、ここで客席はただ聞くのみ。中手が飛んでもおかしくないくだり。

きれいにサゲて、大団円。

女性であること消すのではなく、女性であることをしっかり抱えながら、落語に勝負を挑む姿勢。そしてきっちりを結果を残す(お客様を楽しませる)。自分に厳しく、お客様に優しい。柳亭こみちさん、お呼びしてよかったです。ありがとうございました。 

久しぶりの「くがらく」。昇也さん人気のおかげで、大入り大盛況になりました。お客さんの入りに昇也さん喜んでくれたのでしょうか。4席2時間以上の大熱演の一大高座。(長かった…)と感じたお客様もいらっしゃったこととは思いますが、何卒ご容赦ください。「くがらく」に気持ちを入れていただいて、主催者側としては冥利に尽きます。熱演以上に、高座の温度設定が熱かったかもしれません。昇也さん、会の終盤、どうやら足がツっていたらしく…。

まずは「寄合酒」。昇也さんお得意の一席から。と、その前に、昇也さんがもっとも得意とする「まくら」です。初めて昇也さんの高座をお聞きになったお客様、覚えておいてください。これが昇也高座の幕開きです。お客様の気持ちをぐぐっと引き寄せる技量。高座と客席が一瞬にしてひとつになりました。

二席目は「時そば」。サゲだけが(昇也オリジナル)のネタはいろいろあっても、ここまで(昇也オリジナル)に改良されたのは、いまのところ「時そば」だけではないでしょうか。寒い時期の噺、名作古典の「時そば」を昇也さんなりの考え(お客様に自然に受けいられる設定で、笑いを起こしたい)で改良した聞き応え、見応え(ある仕草がとっても可笑しいのです)のある一席です。

仲入りを挟んで、もう一席。と思っていたら、なんと「後半、二席やります」と昇也さん。

寄席サイズ(10~15分)の「勘定板」。蕎麦の噺のあとでよかったです。順番が違っていたら、あそこまで蕎麦が美味しそうには見えなかったでしょう。もちろん昇也さん的には、その辺も計算の上でしょうけれども。打ち上げに参加したお客様が何人か面白いことをおっしゃっていました。「わたし、これから“勘定する”って言います」とか「“勘定する”って言い回しを流行らせたい」とかとか。算盤の違いについても激論が交わされていて、そこも興味深かったです。巴の算盤には無理だ!いや、あれは現在のそろばんと違い「底」がある“箱型だ”などなど。落語って楽しい!

とどめは(笑)、昇也さんが常々「笑いを回収するまでの前段が長いんですよね~」と語っていた「廿四孝」。このとき、主催者側としては(長くなるな)ということを確信したわけであります。ただ、これは中々聞けない噺でもあります。もしかすると、昇太師匠くらいしかいないのでは?その昇太師匠直伝のネタです。もはや完成形といってもよいくらい磨かれまくっている「寄合酒」や「時そば」とは違い、これからどう磨かれ、進化していくかを楽しむことが出来るネタでもあります。

昇也さんは高座で足が攣った2時間かもしれませんが、お客様は1,000円でここまでたっぷり。「海老で鯛を釣」った2時間だったのではないでしょうか。

どうです。本当だったでしょう。まさに「しゃべりだしたら止まらない!」春風亭昇也ワールド。

昇也ワールド初体験だった方、(春風亭昇也って、こんなにおもしろかったのか)というコトに気づいていただけましたら幸いです。

(文責:くがらく編集部)

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ご予約募集要項(終了)

第05回「春風亭昇也」さんの回。無事お開き。ありがとうございました。

春風亭昇也@くがらく

※おかげさまで、定員に達しましたので、現在はキャンセル待ちとさせていただいております。

〔日 付〕 2016 年 1 月23 日(土) 
〔時 間〕 開場18:00 /開演18:30( 1時間30分ほど)

〔出 演〕 春風亭昇也さん(2~3席)
〔木戸銭〕 1,000 円
〔会 場〕 鵜の木八幡神社(大田区南久が原2-24 -1) 客席数(イス席)は、最大で60名ほどですので、できるだけ、事前にご予約いただけると助かります。
〔交 通〕 東急池上線 久が原駅・多摩川線 鵜の木駅 ともに徒歩7分


〔ご予約・お問い合わせ〕 久が原落語友の会
 090-4824-9243(留守電の際は折り返し、ご連絡差し上げます。)
 電子メールアドレス : rakugo@miura-re-design.com

※終演後は希望者の方と昇也さんを囲んで打ち上げをします。木戸銭とは料金は別になります。場所は、神社近くの小料理屋「さより」です。小さなお店なため、人数には限りがあります(20数名程度)。ご希望の方は、お早めにお申し出ください。

 ※終演後の打ち上げは、申し込み人数が定員に達しましたので、締め切りとさせていただきました。

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