桃月庵黒酒
桃月庵黒酒

<はじめに>

黒酒さんは「もう改めてインタビューで聞くことないでしょ」ぐらい、いろいろと複数のメディアを駆使し、情報発信なさっています。(※くがらくの「プロフィール」ページ参照

つまり、大変に筆まめです(編集部注:ご自身のブログ更新が長い間~2025年6月まで、ぴたっと止まっていた「小ふね兄貴」とは真逆のタイプ ※「柳家小ふねのブログ」)。なので、くがらくのインタビューを読むより、黒酒さんの公式サイト「桃月庵黒酒の元帳」(note:クリエイター向けのプラットフォーム)をご覧いただく方が、100倍正確で濃密かと思います。

が、しかし。そこはそれ。いろいろと踏み込んで聞いてみました。今日までの膨大かつ点在する黒酒情報を整えて、もっとも整理された桃月庵黒酒情報インタビューページを目指したのであります。(結果、恐らく「くがらく」史上最大文章量)

(くがらく編集部)

桃月庵黒酒
桃月庵黒酒

圧倒的なSNS活用。いつでも、どこでも、

落語の入口をつくる人。

すごいですなんかね、いろいろと下調べしていただきまして。

― note(以下、ノート)とインスタグラムは、すべて読ませていただきました。動画は(ネットに上がっている本数の)半分は拝見しました。

ありがとうございます。あれ見るのも大変だったでしょう。

― 発信する人の方がすごいですよ。マメなんですね

そんなにマメじゃないですよ。噺家がやってなさすぎるだけで。

― そうですか?

そうですよ。うちの雲助師匠(黒酒さんの大師匠。五街道雲助)だって、もともとホームページ作り出したのだとかの最先端でしたし。(※)

※ 雲助ぶつくさ:五街道雲助(重要無形文化財保持者、人間国宝)師匠のホームページ

「読んでいただくのが一番早いが、簡単に説明すると『その日にやった噺について思うことや反省を書いた日記』という感じ」(黒酒さんのnoteより抜粋)

https://note.com/tga_kuroki/n/n39c4583dafb6

あの“ぶつくさ”をやっていたのだとか、あれもマメじゃないですか。(隅田川)馬石師匠(※)は、ご自分の高座を全部録音していますし、(古今亭)志ん朝師匠(※)まで遡ると、(志ん朝師匠は)自分が出た高座の着物の色とか全部控えているとかありますからね。同じ着物で出ないように。なのでマメな噺家のエピソードはたくさんありますね。

※ 隅田川馬石(すみだがわばせき): 五街道雲助(ごかいどう くもすけ)一門。四代目として襲名。師匠・雲助譲りの重厚な古典落語と、彼独特のトボケた滑稽噺や人情噺を得意とし、文化庁芸術祭賞大衆芸能部門芸術祭大賞も受賞した人気実力派。

※ 古今亭志ん朝(しんちょう):昭和から平成にかけて活躍した「落語界の至宝」。五代目古今亭志ん生の次男、兄は金原亭馬生という落語界のサラブレッド。立川談志、三遊亭圓楽、春風亭柳朝と共に「江戸落語四天王」と呼ばれ、談志をして「金を払ってでも聴きたい落語家」と言わしめた天才落語家。粋で上品な江戸弁と小気味よい語り口で、落語を芸術の域に高めた。

― 落語家になる前からSNSを駆使なさっていた?

元お笑い芸人で、ぼーっとしてりゃ何も仕事がないですから。自分で(率先して)動くしかない!みたいな。これはうちの師匠が唯一褒めてくれたところなんですけど、「元々お笑いやってたから自分で動く、その動き方を知ってるな」と。そういうところを褒めてもらった、お笑いのそのままの感覚でいるというだけなんですけど。自分で動かないと何も起きないだろうなっていう。それで動いているだけですかね。

― 二つ目さんに上がってからはじめたのは?

まず「桃月庵黒酒」でSNSを作るところからですね。それと同時にノート(ホームページ)を始めました。目立たなきゃしょうがないだろうなっていうので。

― ツイッターは多かったですけど、噺家さんでノートをはじめたのは、かなり黒酒さんが先駆けだと思いますが・・・

そうかもしれません。

― 噺家さんの中では、もう“メディア王”ってくらいに、さまざまなSNSメディアをお使いですよね

個人的には結局、落語の良し悪しって二つ目の段階じゃ、ほぼ変わらないと思っているんです。そんな中でどうやって優劣がつくかっていうと、「その人を、知ってもらって、好きになってもらっているかどうか」ってところが結構大きいと思っています。例えば、私の友達しか集まっていない場所で、真打の人と一緒に二人会やったら、私のこと知っている友達の前だったらウケると思うんですよ、私の方が。ところが、私を知らない人の前だったら、きっと腕の立つ真打の方のほうが多く笑いを取ると思うんです。

― なるほど

知ってもらっているかどうかっていうのは割と大きいので、ですので、知ってもらうためにとにかく何か方法はないか?ってんで、次第にSNSでの発信、使うメディアの種類が増えていった。そんな感じなんです。

「噺家は内面がわからないほうが良いんだ」とか、「ミステリアスなほうが良いんだ」という話も聞きますけど、私は時代的には内側裏側を発信していく方が応援されやすいんじゃないかな?と考えています。あくまでも私の肌感覚ですが。もしかしたら、何も(発信)しない方が売れていたかもしれないですし、特に勝算があってやっているわけじゃないんです。

― YouTubeの編集とかも簡単じゃないと思うんですけどね

簡単ですよ

― え、そうなんですか

そうですね、YouTubeは。

― YouTubeをはじめたきっかけは?

何をするにも結局YouTubeに行き着いちゃったんですよね。新しいことをやろうかとか、もっと自分を知ってもらうにはとか 落語会に来てもらうには?などと考えると結局なんかYouTube に行き着いてきちゃったっていう感じで。

― はい

YouTube自体はもうある程度フォーマットみたいなのがあって、毎回そこの動画を入れ替えるだけでできるようにはしたので。特に編集はしなくていいっていう風に。本当はちゃんと編集した方がもっと見てもらえるんだろうなとは思うんですけども。自分一人でしかできないんで私は。編集屋さんとかね雇えればいいんでしょうけど、そこまでできないんですよね。

― それにしてもすごいスキルです

まあ、「いろいろやっている噺家」って思ってもらっていますけど、もっとやっている人は多分いるんですよ。編集するにも、チラシ作るにも、落語会を開くにも、誰かと協力してやる人の方がやっぱりすごいなぁと思います。地元の市長に挨拶に行くとか、お寺とかに訪ねて「ここで落語会をやらせてください」とか、いろいろな人を巻き込んでやる人の方が凄いと思っています。私は自分一人でしかやってない、全部自分一人でできることだけをやっているタイプなので。

桃月庵黒酒

後輩3人に声をかけてはじめた

「古今亭の若い衆」

― ほかの噺家さんとの二人会も、いろいろなさっているじゃないですか。

はい。(林家)八楽(※)とは同期なんで一緒やっていこうかなと思っていますけど、(古今亭)菊正(※)とやっている会は菊正が声をかけてくれて。他はどっか主催が入ってやってくれているとかですかね。私から誰かと二人会やろう!と積極的に動いたりはしてないです。面倒くさいですもんね。相手のスケジュール聞いてなんかするのも。(香盤が)上の師匠方に私から声をかけて…というのは、ありません。うちの師匠にはありますけど。周りを見るといろんな師匠方に声をかけて自分の会にお客を呼びたいみたいな二つ目はいっぱいいますけど、私にはできないですね。だから、「こいつ独演会ばかりやっているな」みたいな状態になっていますね(笑)

― それはそれで、良いことではないのですか?

ありがたいことではあるのですが、独演会は、基本的に「すでに黒酒を好きな人」が来てくれる場所でしかないと思っています。新しいお客さんが増えている実感も“ないわけではない”のですが、はっきりした根拠はないので、よく分からないのが正直なところです。

結果的に独演会中心の活動みたいになっていますが、決して理屈や戦略でやっているのではなく、これまでの流れの中でそうなっているだけですね。独演会以外にも「できることはありそうだ」という感触はありますし、誰かと一緒にやる会だと精神的にも体力的にも余裕が生まれてありがたいです。

あ、でもひとつありますね。後輩に声かけている会が。「古今亭の若い衆(※)」って会です。その会は、後輩3人に声かけて、やり始めました。

※ 林家八楽(はやしや はちらく):寄席紙切り芸の未来を担う若手紙切り師。父は紙切り芸の大看板・二楽師匠(2025年没)。

※ 古今亭菊正(ここんてい きくまさ):菊太楼一門。東京大学大学院卒で、ロシア人の父を持つミックスルーツも特徴。

※ 古今亭の若い衆:桃月庵黒酒・金原亭駒平(きんげんてい こまへい)・古今亭陽々(ここんてい ようよう)・金原亭馬吉(きんげんてい うまきち)の4人の会

― そういえば、インスタグラムになりすましが出たそうですね。なりすましが出るくらいの知名度ってことじゃないんですか

いやそんなことないと思いますよ。どういう基準で(笑)私になりすましがあるのか分からないですけど、なんかここ最近多かったんですよね。演芸界の人のなりすましっていうのは。多分噺家についているお客さんをターゲットにしてるわけで。それがやっぱり高齢の方になるわけだから。その辺のインスタグラマーのなりすましになったって、多分引っかからないけど、噺家のお客さんなら高齢の方が多いから、最近増えたのかなと思います。多いみたいですね講談のほうでも。


チラシ掲載の文章は、インタビュー記録からの抜粋です。全文は、ここでしか読めません。ぜひ、読んで感じて知ってください。黒酒さんの本音、素顔。そして落語観。

桃月庵黒酒 独占インタビュー(1)

桃月庵黒酒 独占インタビュー(2)

桃月庵黒酒 独占インタビュー(3)

桃月庵黒酒 独占インタビュー(4)

桃月庵黒酒 独占インタビュー(5)

桃月庵黒酒 独占インタビュー(6)