

ストイックに。お笑いに対して誠実に
― 今年は特に、非常に精力的に活動されている印象を受けます。それを何か自分で課した理由というか…
らくごカフェで毎月ネタ卸しを2席やっていまして、多分それも含めてのことだと思うんですけど、そうですね…
去年は(1年間で)ネタ卸しを14本。結構している方だとは思うんです。だた、僕もいい歳(44歳)なんで、落語界でそろそろ何か結果を出さないといけないなとは思っています。
年齢を考えた時に僕には若さがない。若さがないってことは、必然的に将来性がないっていうことだと思うんですね。これは自分ではっきり思う、僕が思う話なんですけど。年齢的なマイナス。じゃぁ、それを何で埋めようかと。そう考えた時に、他の人よりも明確に努力するしかないと。
また、その努力も、すごい(たくさん)稽古するって方向もあるんですけど、僕の場合はどっちかというと「むちゃくちゃネタおろしをする」っていうのを一回やってみようと。
僕が具体的に古典新作12ヶ月ネタおろしのこの会を始めた一つのきっかけが、笑利兄(※)の20ヶ月連続古典ネタおろし公演です。
※ 笑福亭笑利(しょうり):笑福亭鶴笑(かくしょう)一門。NHK(新人落語大賞)決勝進出の実力派。
20ヶ月(連続)てすごいじゃないですか。しかも、古典連続はもっとすごい!正直、新作は自分さえ頑張ればできるんですけど、古典の場合は師匠との稽古がありますから。決して思うようにはいかない。その状況化での20ヶ月(連続)。
― 今後はこれを毎年?
いえ。これからずっとやり続けるのではなくて「今年は一回それをやってみよう」っていう感じです。来年は、どういうアプローチで、自分の落語が良くなっていくには何がいるかな?と。そういう感じで、1個1個思いついたら潰していこうと思ってやっています。僕のことがおもろいか・おもろないか、好きか・嫌いか置いといて「あの人、一番やってるよね」って言われるくらい頑張ろうかなと。
― もとからこんなにストイックなのですか?
お笑い(芸人)をやってる人は少なからずみんなストイックだと思いますよ。僕だけやなしに。僕ももちろんネタ単独ライブもよくやりましたし、いっぱい作りましたけど、ネタを作る数だけで言ったら僕より作ってた人いっぱいいると思うし。筆の遅い速いもあるので。
ただ、それで言うと僕はお笑いに対しては誠実ではあると思います。僕より努力している、ストイックな方は山のようにいると思います。ただ、絶対に手は抜かないようにしようと思ってやっています。頑張って作ったけど結果面白くなかった…は全然あるんですけどね(笑)
「手を抜いた滑り方」と「戦った滑り方」がある
結果、これ全然あかんなっていうのはあります(笑)。でも、僕の中では「手を抜いた滑り方」と「戦った滑り方」があるんですよ。
他の人が作った新作落語はウケてた。一方、自分は「このアイデアを、こんな新作にしてやったぞ!」ってやって挑んだけど結果、滑ってしまった。だから、負けじゃない!って。そう思えたりします。
「今日は全然ウケへんかったな。滑ったな。でも、このネタは挑戦してるから、前向きに滑ったかOK!」みたいな。そういう向きあい方をしています。
― (新作落語は)どんな風に作って、覚えていくのですか?
「作るぞ」って思って決めて、1行目から文字として書いていく感じです。台本として。途中で思いついたら、どんどん書き足して。全部書いて覚える感じですね。
― 歩きながらそらんじたりとかも?
そうですね。子どもが学校に行ってしばらくしたら1時間ぐらい歩く感じですね。青梅街道沿いを中野坂上まで歩くんです。
― 茶光さんは声優さんもされていますね
はい。漫才師時代に声優関係の関係者の方にオファーをいただいて。(落語家に)入門して、やめろって言われて、ほとんど終わったんですけど、いま唯一「新テニスの王子様(※)」だけ残ってますね。
※ 新テニスの王子様:許斐剛による中学校の部活動テニスを題材とした日本の漫画。茶光さんは、遠野篤京というキャラクター役。
― やっぱり、やるなって言われたんですか? 声優のお仕事。
そうです。だから、新しいの(声優仕事)が来ても断りました。「テニスの王子様」って本当にすごい人気なんですよ。前座の時に武道館に立つ機会があったんですよ。武道館で歌うという。それも断りました。前座なんでって言って。
― 横浜アリーナにも
あれはもう二つ目だったんで出演しました。(2023年6月横浜アリーナにて新・テニスの王子様の遠野篤京役で出演し1万人の前で歌を披露した)
― (茶光さんは)声も良いですもんね
そうですか。自分ではもう分かんないですけどね。
― ラジオのお仕事とかは?
もうやってないです。コミュニティFMみたいなのを漫才師の頃にやったりはありましたけど、今はないです。
― ラジオの番組を持ちたい、といった思いはありますか?
それはやっぱありますね。うちの師匠はラジオを続けてやっていますし、落語家で活動してたら、テレビは正直ちょっと現実的に厳しいなっていうのはあるので、ラジオで自分の看板番組を持って、自分の空間で、という気持ちは持っています。
― 松竹芸能さんは今どういう契約というか?
所属です。たまに仕事を紹介してくれたりもします。ついこの前も保育園での仕事を。
― 今回、例えば「くがらく」として依頼していますが、松竹さんへの連絡は…
しなくてもOKです。メディアの仕事以外は(しなくて)大丈夫です。メディアに関係するお仕事の場合は松竹芸能が関係してきます。通常の落語界のオファーは、松竹芸能は関係ありません。なので「BS笑点」に出たときは松竹芸能を通しています。

チラシ掲載の文章は、インタビュー記録からの抜粋です。全文は、ここでしか読めません。ぜひ、読んで感じて知ってください。茶光さんの本音、素顔。そして落語観。
笑福亭茶光 独占インタビュー(3)